IPOは、Initial Public Offering(新規公開)の略で、未公開株が上場することを意味します。
IPOの特徴は、証券会社が投資家から事前に購入申し込みを受け、その応募の結果などを踏まえて上場時の価格が決定されることです。
期待の高い銘柄には応募が殺到し、その結果、公募時の価格の数倍の高値で上場することもあります。
この差額を利用し、上場してすぐに売りに出す、いわゆる「初値売り」は、比較的初心者でも利益を出すチャンスが多い投資手法といえます。
今回は、IPOとは何か、IPOがなぜ成功しやすいと言われるかについて解説します。
目次
IPOとは?
企業は、証券取引所による診査をクリアすることにより、自社の未公開株式を証券取引所に上場させることができます。
IPOとは、この時に株式を新規上場させることを指します。
企業にとってIPOを行うことは、資金調達のほか、その企業の社会的信用や知名度を向上させられるなどのメリットがあります。
東証マザーズなど、ベンチャー企業が上場しやすい市場からスタートすることが多いです。
IPOは初心者でも儲けやすいの?
証券取引所はIPOを行うことが決定した企業名を公開し、公開前に株式を買ってくれる投資家を募集します。
つまり、まだ市場価値がつけられていない企業の株を、興味のある人に販売するということです。
もちろん有名でない企業がほとんどですから、どの企業に投資するか、その判断は難しく感じられるかも知れません。
せっかく応募して購入した株が、不良企業で、上場とともに値崩れしたら怖いですよね。
しかし、実際にはどうなのでしょうか。
2018年7月~9月における20銘柄のIPOにおける公開価格(上場時の公募価格)と初値価格(初上場時の市場価格)を一覧にしてみました。
上場日 | 会社名 | 市場区分 | 公募価格(円) | 初値(円) | 上昇倍率(倍) |
---|---|---|---|---|---|
7月4日 | ロジザード(株) | マザーズ | 900 | 2,500 | 2.8 |
7月5日 | ㈱キャンディル | マザーズ | 1,180 | 1,800 | 1.5 |
7月10日 | ㈱MTG | マザーズ | 5,800 | 7,050 | 1.2 |
7月23日 | ㈱マネジメントソリューションズ | マザーズ | 2,100 | 4,500 | 2.1 |
7月24日 | ㈱バンク・オブ・イノベーション | マザーズ | 960 | 2,000 | 2.1 |
7月25日 | ㈱GA technolgies | マザーズ | 2,510 | 5,780 | 2.3 |
7月26日 | ㈱アクリート | マザーズ | 770 | 1,542 | 2.0 |
7月26日 | ㈱エクスモーション | マザーズ | 3,340 | 5,000 | 1.5 |
7月27日 | ㈱プロレド・パートナー | マザーズ | 4,250 | 7,170 | 1.7 |
8月2日 | ㈱イボキン | JQスタンダード | 1,930 | 2,310 | 1.2 |
8月2日 | ㈱システムサポート | マザーズ | 1,750 | 4,000 | 2.3 |
8月22日 | ㈱チームスピリット | マザーズ | 1,200 | 2,417 | 2.0 |
9月6日 | and factory㈱ | マザーズ | 2,570 | 4,010 | 1.6 |
9月6日 | ㈱ナルミヤ・インターナショナル | 第二部 | 1,560 | 1,501 | 0.96 |
9月13日 | 香陸住販㈱ | JQスタンダード | 1,700 | 1,970 | 1.2 |
9月13日 | ㈱マリオン | JQスタンダード | 2,380 | 3,800 | 1.6 |
9月20日 | ㈱アズーム | マザーズ | 3,000 | 6,400 | 2.1 |
9月21日 | ㈱イーエムジャパン | マザーズ | 3,000 | 7,000 | 2.3 |
9月25日 | ㈱アイリックコーポレーション | マザーズ | 1,770 | 2,226 | 1.3 |
この期間内のIPOについては、20銘柄のうち19銘柄の初値価格が公開価格を上回っています。
その上昇倍率にも注目して下さい。
7月4日に上場したロジザード㈱は約2.8倍と、3倍近い数値を出している銘柄もあります。
IPOの初値はなぜ上がりやすいの?
IPOの初値価格が上がりやすい理由として挙げられるものは、
・公開価格が割安に設定される傾向があること
・IPOそのものへの期待が高いこと
の2つです。
・初値が上がりやすい理由①:公開価格が割安に設定される傾向があること
公開価格の決定は、多くのIPOで、「ブックビルディング方式」というものが採用されています。
ブックビルディング方式とは、証券会社が行う専門家へのヒアリング結果を参考に、仮条件の金額を決めるところから始まります。
この仮条件には、「○○円~○○円」のように、価格の1割程度の値幅があることが特徴です。
そして、仮条件に対する一般投資家の申し込み状況を見て、仮条件の範囲内で公開価格が決定されます。
仮条件の範囲内で公開価格が決定されるのですが、実はこの仮条件は、割安となる傾向があるのです。
仮条件は市場に公開する前の証券会社の判断による価格ですから、未上場の株式に、需要に合わない高値をつけて売れ残っても困ります。
したがって、この仮条件の価格は割安に設定される傾向があるのです。
そのため、初値価格より公開価格の方が安くなることが多くなると考えられます。
・初値が上がりやすい理由②:IPOそのものへの期待が高いこと
IPOでは公開価格より初値価格が上回ることが多く、その上昇倍率も高いです。
したがって、IPOそのものに高い期待を寄せる投資家が沢山います。
こうした投資家がいることにより、IPO株の需要も自然と高まります。
この需要状況を含めて初値価格が決定しますから、IPO株の初値価格は高くなりやすいというわけです。
まとめ
今回はIPOとは何か、IPOがなぜ成功しやすいと言われるかについて解説しました。
ただし、IPO株の購入は競争率が高く、簡単に購入できるものではありません。
また、全ての銘柄が上がるなんて話ではなく、逆に下がるリスクもあります。
IPOに参加する前に、購入者の抽選方法やIPOのリスクも必ず知っておきましょう。